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脳卒中(脳血管障害)に関連する医療ミスとは?

脳卒中をはじめとした重大な病気が多い脳神経外科の領域。そこで医療ミスが起こるのは想像するだけでも恐ろしいことですが、不幸な事例も発生しているのが現実です。脳卒中に関する医療ミスについて考えてみましょう。

目次

脳卒中(脳血管障害)の
医療ミス裁判が難しい理由

入院中の患者さんが脳梗塞を発症して重度の後遺症が残ったのは、医師の診断の遅れや適切な検査を怠ったためとして、ご家族が損害賠償を請求した事案があります。本事案では、裁判所は適切な検査を怠った過失は認めたものの、診断が遅れた過失は否定しました。

この裁判では、患者さんのCT画像を事後的に確認すると「early CT sign(アーリーCTサイン:脳梗塞の急性期に出現する独特のCT所見)」がみられましたが、その読影は困難であり、CT画像から脳梗塞を診断できなかったとしても医療水準に反するとは言えず、診断の面での医師の過失は否定されました。

また、患者さんの症状から担当医はてんかん発作だと考えたようですが、CT画像も実際の症状はてんかん発作とも脳梗塞とも矛盾せず、やはり脳梗塞の確定診断は困難だったとしています。

ただ、別の事案では「early CT sign」の所見が決め手となり、医師の診断が遅れたことを過失と認定したケースもあります。これは第三者の医師による鑑定意見書が決め手となりましたが、そうした意見が裁判の行方を左右することは珍しくありません。

脳卒中に限ったことではありませんが、医療裁判では裁判官が医学に精通しているわけではない以上、過失の追求が困難な場合もあります。医療裁判が難しいといわれる理由は、このような医学という専門性の壁が影響しているのです。

参照元:メディカルオンライン「脳梗塞の診断義務と追加検査義務」[PDF](https://www.medicalonline.jp/pdf?file=hanrei_201810_01.pdf)

そもそも、なぜ脳卒中
(脳血管障害)は
起こるのか?

脳卒中(脳血管障害)は大きく分けて3つ、血管が詰まることで発症する脳梗塞、血管が破れることで発症する脳出血、脳動脈瘤が破裂することで発症するくも膜下出血があります。手足の麻痺や言語障害、意識障害など共通の症状もありますが、原因が異なるため治療方法も経過も変わってきます。

脳梗塞が発症する原因

脳梗塞の大きな原因のひとつが動脈硬化で、もろくなった血管の内側からはがれた血栓が血管を詰まらせてしまいます。動脈硬化を進行させないためには、高血圧や糖尿病、脂質異常などの生活習慣病に対するコントロールが重要で、治療には抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)を用いるケースが多くあります。

また、不整脈など心臓の病気が原因で起こる脳梗塞もあります。これは心臓でできた血栓が血液の流れに乗って脳まで到達し、脳血管を詰まらせてしまうのです。近年ではカテーテルを使った心臓手術を脳梗塞の予防治療として行う例も増えています。

脳出血が発症する原因

脳出血の主な原因は高血圧と脳アミロイド血管症(脳の血管に不溶性繊維性蛋白が沈着した状態)で、前者は脳の深い部分、後者は脳の表面で発症することが多いようです。そして脳アミロイド血管症はアルツハイマー病の発症にも影響するため、認知症にも十分に注意しなければなりません。抗血栓薬(抗血小板薬と同様、血液をサラサラにする薬)を飲んでいる場合は脳出血のリスクが高まることが広く知られています。

その他の脳出血の原因として挙げられるのは、脳腫瘍や脳動静脈奇形(AVM)、もやもや病などで、原因疾患の治療を行わなければ再発のリスクも高くなります。

くも膜下出血が発症する原因

くも膜下出血の第一の原因は脳の表面を走行する主幹脳動脈の一部がこぶのように膨れてしまう「脳動脈瘤」です。脳動脈瘤が破裂すると、脳の表面を覆うくも膜の内側(くも膜下腔)に出血し、突然の激しい頭痛や意識障害などがみられます。また、くも膜下出血は外傷や脳動静脈奇形が原因で発症することもあります。

参照元:国立循環器病研究センター「脳卒中」(https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/stroke-2/)

脳卒中(脳血管障害)に
おける医療裁判の
争点は「過失」

医療裁判の争点は、相手方に過失があるかどうかに絞られていきます。脳卒中の事案は重い障害が残ったり、亡くなったりすることも多く、そのような結果を避けることができなかったのかが患者側の疑問点です。

他の領域の医療裁判もそうですが、問題となった診療行為に過失があるのか、医療水準に沿った治療がなされていたのか、そして過失がなければ重大な結果を避けられたのかどうかを追求していきます。

また、脳卒中における医療裁判で争点になるのは、「医師の説明義務」に対する責任が果たされたかどうかということです。医師の説明義務とは、患者さんが治療を受けるかどうかを自ら決めるために、必要な情報を医師が説明する義務のことです。これは患者さんの自己決定権の実現にも関わります。

仮に何らかの医療行為を受けて後遺症が残ってしまったとします。医師からしっかり説明されていれば治療を受けなかったという場合には、生命や身体に対する損害との因果関係が認められ、損害賠償の請求が可能になります。

しかし、多くの事案では医師の説明義務違反と生命、身体に対する損害との因果関係は否定されてしまい、自己決定権の侵害に対する慰謝料しか認められません。したがって、賠償額も少額にとどまっています。

参照元:医療過誤弁護士「説明義務違反」(https://www.avance-lg.com/customer_contents/iryou/violation-of-accountability/)

脳卒中(脳血管障害)に関連する医療ミス事例を解説

以下では、当サイト監修「弁護士法人ALG&Associates」が携わった医療ミス(医療過誤)事例の中から、脳梗塞、脳出血(頭蓋内出血)、くも膜下出血に関する情報をわかりやすく解説しています。それぞれの事例における裁判所の判断や解決までの詳細など、ご家族の状況に近いケースをぜひご参考になさってください。

「脳梗塞」治療・予防薬による医療ミス

心房細動の持病を抱え、通院による抗凝固療法を受けていた患者。当初は70日ごとに凝固能検査を実施していましたが、医師の指示で140日ごとの検査に切り替えたところ、患者は脳出血を発症して亡くなってしまったのです。訴訟の結果、裁判所により相手方の有責を前提とする和解勧告がなされ、和解金の支払いを命じています。

「脳出血(頭蓋内出血)」の
経過観察ミス

僧帽弁逆流症で心臓手術(弁置換術)を受けた患者。手術後から抗凝固薬を服用中でしたが、皮膚科で投与された抗菌剤と抗凝固薬を併用することで凝固能が基準値を逸脱、患者は脳出血を発症して常時介護を要する状態になってしまったのです。相手方は訴訟に発展すると敗訴するリスクを認識したことで最終的には和解が成立しています。

「くも膜下出血」が起因の
医療事故

未破裂脳動脈瘤に対する脳血管手術を受けた患者。手術中、血管に穴が開いてしまいましたが、担当医は一時的な圧迫止血を施しただけで最後まで手術を続行しました。すると患者は手術後にくも膜下出血を発症、結果として常時介護を要する状態になってしまったのです。交渉では過失を認めない相手方に具体的な問題点を指摘、最終的には和解が成立しています。

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医療関連の法務に携わり、100件*を超える医療案件を手がけてきた井内健雄弁護士。

所属する弁護士法人ALG&Associatesでは、医療過誤事件に特化した医療事業部を率い、高度な専門知識と豊富な経験で多くの被害者と真摯に向き合ってきました。

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*2023年10月調査時点
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