2014年の医療法改正によって、医療安全の確保を目的とした「医療事故調査制度」が創設されました。厚生労働省の指定を受けた第三者機関「医療事故調査・支援センター」によって、医療事故の再発防止に向けた取り組みが行われています。
医療ミスの再発を防止する
「医療事故調査制度」とは
医療事故調査制度は2014年の医療法改正に伴って整備され、翌2015年10月から施行されています。
医療の安全確保を目的とした制度であり、厚生労働大臣から指定を受けた第三者機関である「医療事故調査・支援センター」が医療事故の再発防止につながる様々な業務を執り行っています。
この制度は決して個人の責任追及を目的とするものではありません。
本制度の創設には、90年代後半に続発した重大な医療事故によって医療安全に対する国民の関心が高まり、厚生労働省や医療界、そして医療事故の被害者からも再発防止を目的とした制度が切望されたことが背景としてあります。
医療事故調査は外部に
支援をお願いする
医療機関において医療事故による死亡事例が発生した場合、まずはご遺族に説明を行うとともに医療事故調査・支援センターに報告し、速やかに院内事故調査を開始します。その際には、医療事故調査等支援団体(医師会をはじめとする職能団体や病院団体等)に必要な支援を求めるものとされており、外部の専門家の支援を受けることが原則です。
調査結果はご遺族に説明し、同じく医療事故調査・支援センターに報告します。
この報告内容について、ご遺族や医療機関側が同センターに調査を依頼した場合は改めて調査を行うことになります。調査が終了したら、センターはその結果をご遺族や医療機関側に報告します。
医療事故調査の具体的な流れ
- 医療事故判断
制度の対象となる医療事故は「医療従事者が提供した医療に起因する(疑いを含む)予期しなかった死亡または死産」と医療法に定義されています。患者さんの死亡または死産がこの定義に該当するかは、医療機関の管理者(院長)が組織として判断します。つまり、制度の対象になるかどうかは、ご遺族ではなく医療機関側が判断するということです。 - ご遺族への説明
医療機関が制度の対象になると判断した場合、その事実を速やかに医療事故調査・支援センターに報告しなければなりません。その際には、ご遺族に対して現時点で把握している事実に加えて医療事故調査制度の概要や院内調査の実施計画などを説明することになっています。ご遺族から医療機関側に問い合わせがあった場合に備えて、連絡窓口も決めておく必要があります。 - センターへ報告
医療機関側からセンターへの報告は、個別の事情によっても異なりますが、基本的には医療事故と判断されたら速やかに行うこととされています。 - 院内調査
医療事故と判断された場合、医療機関側は医療事故調査等支援団体の支援によって院内事故調査を実施しなければなりません。この調査は医療事故の原因を明らかにするために行われますが、事例によっては原因が明らかにならなかったり、再発防止策が得られなかったりする場合もあります。 - 医療事故調査等支援団体
医療機関側が院内事故調査を実施するにあたり、専門家の派遣など必要な支援を行うのが医療事故調査等支援団体です。医師会や病院団体、大学病院、各領域の医学会など、多くの医療関係団体が厚生労働省から指定を受けています。 - ご遺族へ結果説明
院内事故調査が終了したら、医療機関側からご遺族に対して結果を説明します。説明方法には口頭または書面、もしくはその両方があり、事故に関係した医療従事者の個人情報は伏せられます。 - センターへ結果報告
医療機関側は、院内事故調査の結果を「医療事故報告書」として提出します。この報告書も前述と同じく、関係した医療従事者の個人情報は伏せられます。 - センター調査
センターに報告された事例は、ご遺族や医療機関側からの依頼に基づいてセンターによる調査も行われる場合があります。 - ご遺族及び医療機関側への結果報告
センターによる調査が終了したら、ご遺族と医療機関側の両方に調査結果が報告されます。 - 再発防止に関する普及啓発
センターは寄せられた医療事故の情報を整理・分析し、一般化・普遍化した情報を全国の医療機関に提供することで、同様の事故の再発防止を目的とした普及啓発を行います。
医療に起因する
(疑いを含む)死亡
または
死産の考え方
ここでいう医療の範疇に含まれるのは手術や処置、投薬やそれらに準ずる医療行為(検査、医療機器の使用、医療上の管理など)が想定されており、それ以外は制度の対象外とされています。
つまり、施設管理に関連する事故や提供された医療に関連のない偶発症、原疾患の進行、自殺などは本制度における医療事故には該当しないということです。

