医療ミスでの訴訟を弁護士に依頼する場合は、法律相談の段階から相応の費用がかかります。後から「想像していたのと違った」とならないように、法律相談の前に知っておきたい予備知識や費用についてお伝えします。

目次

法律相談前に準備しておきたい
「医療ミス」予備知識

なぜ弁護士が必要なのか

医療ミスの裁判において有利な条件での解決を目指すなら、弁護士に依頼しなければ難しいというのが現実です。

まず、専門知識のない一般人が病院側の過失を医学的に証明するのは現実的に不可能です。それに弁護士がいなければ、裁判の協力医を探すこともできないでしょう。

そして、決してあってはならないことですが、病院側に診療記録を改ざんされてしまう恐れもあります。

依頼者にとって、病院とは良くも悪くも大きな組織です。証拠を挙げて医療ミスを立証するためには、弁護士という協力者が必須だといえるでしょう。

医療裁判の主な費用

医療裁判の費用は「初回相談料」「着手金」「諸経費」等で構成されています。

初回相談料は、正式に依頼する前の法律相談にかかる費用です。この段階で医療ミスに関する悩みや不安、解決手段などについて弁護士に相談します。一般的には時間単位で費用が決められていますが、初回相談無料の法律事務所もあります。

着手金は、正式に弁護士に依頼する際にかかる費用です。業務開始のための費用なので、成果がどうであれ必要です。医療裁判を弁護士に依頼する場合、主に以下の種類の着手金があります。

  • 調査 医療ミスの過失調査のこと。仮に相手側の過失が認められなかったとしても、基本的には返金されません。
  • 示談交渉 裁判前に当事者だけで話し合うことです。その際の手続きや交渉などにも費用がかかります。一方、調停とADR(裁判外紛争解決手続き)では第三者が仲介して当事者が話し合いますが、こちらも同様に費用がかかります。
  • 訴訟費用 訴訟手続きに必要な費用です。弁護士報酬のほか、手続きに必要な収入印紙や予納郵券、証人費用、鑑定費用といった支出も必要です。医療過誤事案は難易度が高いので、訴訟費用は高額になるケースが多くあります。
  • 諸経費 弁護士費用から着手金や報酬を除いた経費を指します。法律事務所によって費目や金額は異なりますが、交通費や送料、通信費、印刷費などを実費で支払うことが多いようです。

上記のほか、協力医の謝礼金やカルテ開示にかかる費用、意見書や鑑定書の作成費なども必要になってくるでしょう。その費目は多岐にわたるため、内訳を細かく確認しておくことが大切です。

もし裁判に負けてしまったら

裁判で負けるとは、判決で損害賠償請求が棄却されることを意味します。判決までに要した弁護士費用は戻らず、仮に原告側が全面敗訴となった場合は原告が訴訟費用を負担するのが原則です。

ただし、裁判に負けても相手側の弁護士費用を負担する義務はありません

良い弁護士を見極めるには相談時の質問が重要

依頼者にとって良い弁護士を見極めるとは、複数の弁護士を比較することかもしれません。そのポイントを「弁護士の経験」という視点から考えてみます。

「同じような裁判例はありますか?」という質問への答え次第で、弁護士の経験をある程度は計ることができるかもしれません。ただし、経験のない弁護士でも、あたかも経験があるかのように説明できてしまうものです。

そこで、「どういうストーリーで、どういう過失を想定してお考えですか?」と質問してみましょう。その回答には経験の差が現れ、どういう点で訴訟に持ち込もうとしているかを判断できます。そこが弁護士の能力や見立ての差ともいえます。

とはいえ、これは実際に相談してみないとなかなか判断できない部分です。たとえば、ホームページに取り扱った事案をしっかり掲載しているかなどをチェックして、絞り込んでいくのも一手ではないでしょうか。

「医療ミス」裁判の前に
弁護士が伝えたいことを読む

医療ミスの和解・解決までに必要な費用相場

弁護士の費用は事務所によって様々です。以下に複数のモデルケースを紹介します。

A法律事務所の場合

  • 相談料/初回相談料無料。2回目から1時間11,000円(税込)。以降、30分延長ごとに5,500円(税込)
  • 証拠開示請求及び医療調査/着手金 22万円(税込)~
  • 示談交渉/着手金 33万円(税込)~、成功報酬 経済的利益の税込22%~33%
  • 調停・ADR/着手金 44万円(税込)~、成功報酬 経済的利益の税込22%~33%
  • 訴訟費用/着手金 55万円(税込)、成功報酬 経済的利益の税込み22%~33%
  • 諸経費/1手続きにつき33,000円(税込)~

B法律事務所の場合

  • 調査受任/33万円(税込)
  • 調査受任+証拠保全申立/55万円(税込)
  • 医療過誤訴訟・交渉/着手金33万円(税込)~、
  • 成功報酬 300万円以下の場合…獲得金額の27.5%(税込)、3000万円~3億円以下の場合…獲得金額の16.5%(税込)+181万5,000円、~3億円超の場合…獲得金額の11.0%(税込)+1831万5,000円

C法律事務所の場合

  • 法律相談料/1.1万円(税不明)
  • 過失調査費用/22万円(税不明)
  • 証拠保全手続き/11万円(税不明)
  • 示談交渉/22万円(税不明)
  • 訴訟費用/55万円(税不明)
  • 報酬金/165万円(支払われる金額の11%程度)(税不明)
  • 日当/10万円(税不明)

依頼にあたっては、総額や内訳をしっかり確認しましょう。特に医療ミスに関する訴訟は高額になりがちなので注意が必要です。

医療過誤事案は専門的な分野ゆえに、事前調査や証拠収集といった弁護士の作業負担が大きくなります。仮に相手方が医療ミスを認めて損害賠償に応じることになると、支払われる額も高額になり、それに応じて弁護士報酬も高くなります。

医療過誤の事案で弁護士の費用が高額になるのはこうした理由があります。

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医療関連の法務に携わり、100件*を超える医療案件を手がけてきた井内健雄弁護士。

所属する弁護士法人ALG&Associatesでは、医療過誤事件に特化した医療事業部を率い、高度な専門知識と豊富な経験で多くの被害者と真摯に向き合ってきました。

井内弁護士が伝えたいのは“和解=負けではない”ということ。「和解とは、納得したうえで解決できたということです。依頼者にとって理想的な結果を目指すことが何より大切」と語っています。

*2023年10月調査時点
名称 弁護士法人ALG&Associates(東京弁護士会所属)
代表 金﨑 浩之(東京弁護士会所属) 医学博士
所在地 東京都新宿区西新宿6-22-1 新宿スクエアタワー28F
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